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アトピー性皮膚炎

アトピーの治療

アトピー性皮膚炎は、かゆみを伴う湿疹が、慢性的に良くなったり悪くなったりを繰り返す、かゆみのある湿疹を主な病変とする皮膚の病気です。 アトピー性皮膚炎では、皮膚の“バリア機能”(外界からの刺激、乾燥などから体の内部を保護する機能)が低下していることが分かっています。

アトピー性皮膚炎は適切な治療を続けながら経過を見ていくと徐々に再発しなくなり、多くの方は自然に軽快していくことが分かっています。小学校入学時には3人に1人の割合で軽快し、10才では半分、16才頃には大部分の方が軽快します。軽快していく時期にさしかかったとき、皮膚を治る状態にしておいてあげることが大切です。

【原因】

完全には解明されていませんが、様々な要因が複雑に関わることで発症します。多くの方は、家族歴、既往歴などのアトピー素因を持っていますが、必ずしも家族歴があるからと言って発症するわけではありません。ハウスダスト、ダニなどのアレルゲン、細菌感染、合わない洗浄剤などのバリア機能が失われる環境で発症リスクが促進される可能性が考えられております。他にもストレス、食生活、寝不足なども関係しています。

【症状】

額、目の周り、首、肘、膝関節裏などかゆみ、湿疹が生じやすい部位がありますが、年齢により皮膚症状は多少異なります。強いかゆみを伴い、乾燥しやすい冬、春あるいは、夏、運動時に悪化する傾向があります。

乳幼児期には、頭部、顔から紅斑や鱗屑、丘疹を生じ、体幹部、手足に広がります。頭や眉毛に湿疹ができ、悪化し痂皮(かさぶた)のようになります。口の周囲やあごなどにも見られます。幼児・小児期には、肘や膝関節の裏側に掻いた痕が見られ、皮膚が厚く硬くなった状態になります(苔癬化局面)。耳介部には亀裂を認め、体幹部の乾燥部位に毛穴に一致した丘疹が見られ、湿疹となります。青年・成人期には、上半身を中心に苔癬化が進み暗褐色で乾燥した荒れた(粗造)状態になります。眉毛の外側が薄くなり、下眼瞼には特徴的なしわが見られ、顔全体に紅斑が広がり、頸部から前胸部に見られます。四肢伸側には結節性痒疹ができることもあります。

【検査】

アトピー性皮膚炎の検査としては、血液検査があります。血清IgEは高値となりやすく、総IgEの他にダニやハウスダストに特異的なIgEが陽性となりやすいです。しかし、実際の皮膚症状との関連がはっきりしないこともあり、結果の解釈には注意が必要です。また、短期的な進行(病勢)を測る目的で末梢血好酸球、TARCを測定します。

【治療】

家庭での環境整備では、カーペットは避け、寝具の清潔保持、温度湿度を適正に保つことは重要です。薬物では皮膚症状により外用薬(ステロイド、タクロリムス、デルゴシチニブ)を用いられます。ステロイドに関しては、副作用が心配になる方も多いと思いますが、適切な強さのステロイドを、適切な量で、適切な期間塗って治療していけば副作用も極力抑えることができます。症状が軽快すれば、タクロリムス軟膏(免疫抑制剤軟膏)を上手に使いながら、皮膚症状の再燃を抑える治療を行っていきます(Proactive療法;日本皮膚科学会のホームページ参照)。かゆみの具合によっては、抗ヒスタミン薬の内服も効果が期待できます。また、様々な治療を試みても症状が軽快しない場合、デュピクセントという注射の治療があります。(今のところ当院では、行っておりません。)

 

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